【医療ソーシャルワーカー】機能別病棟のメリット・デメリット

今、私が所属しているのは「回復期」といわれるリハビリ病棟。

働き始めてまだ3ヶ月と満たないのだが、早速「この縦割り、すごい不便!」と思わされている。

病院の機能区分

医療法では大きく5つに病床を分けている。

だ。

一般、療養、精神はまあ聞いたことがある人も多いだろうが、結核感染症もわけられているのか、と気付かされる人も多いだろう。

さて、さらに病院は疾患の期間や症状により病院の機能を分けている。

である。しかもそれぞれにこまかな要件がある。急性期での治療を終えた患者さんが皆回復期リハにいけるわけでもなく、治療を終えても家で看られないからといって療養に行けるわけでもない。

それぞれの基準を満たし、なおかつベッドがあいていれば行けるのだ。しかも、これは恥ずかしながら仕事をはじめて初めて知ったのだが、療養にも介護型と医療型とあり、保険の区分が異なる(介護保険適用か、医療保険か)。介護型は医療型療養の「区分」(1〜3がある)の分け方に分類できない人が利用できることになっている。

精神病床も急性期、療養、身体合併、認知症とあり精神科を掲げている病院でも受け入れ可能な病院はそれぞれ異なる。

地域包括ケアは最大2ヶ月しかいられないし、回リハは疾患も期間も限られているし、療養型ではほぼ多くの場合でDNRと呼ばれる、蘇生措置拒否の確認が入院前に患者家族に求められる。

 

そもそも疾病の時期区分は大きく分けて

  • 急性期
  • 回復期
  • 生活期

の3つに分かれている。

生活期になると多くの場合は施設、在宅の期間になっていくが急性期は病院での治療期間、回復期は自宅もしくは回リハ等でのリハビリとなる。

 

区分でわけるメリット

こうした区分があると、非常にシステマティックだ。病棟はやるべきことに専念すればいい。回リハで看取る必要はないし(建前上)、療養では積極的治療をする必要もない。そういう特徴を病棟に持たせて、役割を担わせてそこに患者を当てはめていくのだ。合わない患者さんは他を当たってくれ、ということになる。あと、それを望まない人も。

なので、ベッドコントロールが比較的しやすい(という計算が働く)。

区分でわけるデメリット

ところが厚労省や偉い人たちが考えるようにはもちろんいかない。

ある患者さんを例に考えてみる。

Aさんは89歳男性。脳梗塞で急性期病院に入院し、治療を終えて回リハに転院してきた。

入院当初より、右の麻痺があり、嚥下も障害されている。

経鼻経管で栄養を取りつつも、家族が嚥下訓練を希望。何度かトライしているが、誤嚥性肺炎になりかかっている。

ある日、熱発が続き検査してみると誤嚥性肺炎の疑いが。

この時点で回リハでは「急性期の病院へ転院」となることが多々ある。なぜなら、リハビリのできない患者さんは回リハの適用外だからだ。

こうしてAさんは誤嚥性肺炎をするたびに転院をするのだが、肺炎を引き起こしてから数時間、ではなく数日しての転院となることも多く、弱った体を西へ東へと移すわけでその負荷はかなり重い。

似たようなことは整形外科を例に上げてもある。

回リハに入院中に骨折して転院となる場合も、連絡をとったり予約をあれこれとしている間、せいぜい回リハで処方できるのは痛み止めくらい。

骨折に対しての治療は行えない。レントゲンくらいしか撮れない。

うがった見方をすると…

なぜこんな仕組みを国が作ったのかわからないけど医療費が右肩上がりの状態をなんとか食い止めるべく、無駄な長期入院を排除し、家での生活を促したいというのが第一義だろう。

実際、急性期も回復期も在院日数をいかに減らすかを至上命題のようにして取り組んでいる。

でも患者さんを見ていると、なんだか切なくなる。

回リハに入院中、具合が悪くなるたびに転院させられ、治療が終わればすぐに出される。それがたとえリハのできる状況とはなっていなくても。

なんだか緩やかに死に向かわせているような恐ろしさを感じてしまうのだ。

 

MSWに求められていることは

なので、こうした制度の中でどうしたらMSWは少しでも患者さんや家族のために尽くせるだろうか、と考えてしまう。制度を越えていくことは非常に難しいし、その制度の中で病院は役割を果たし、その病院の中でMSWとして役割が求められている。それをちゃんとやっておけばいいんだよというのはまず、あるのだろう。

だけど、おかしいなと思っていることについて問題を言語化したり調べたりすることも大事だなと思う。

その一方で、患者さんと家族の負担を十分に受け止めることも求められているのだろう。実際、回リハ病棟で「ここで看取ってほしい」とおっしゃる家族もいる。

今の病棟の医師は「まあ、無理に移してなにかあっても良くないからね」とやんわり看取ることもありだよねということを内々では了承してくれているので、「何が何でも回リハから出すぞ」という鬼ではない。

それに、思うのだが医師、看護師、リハスタッフなどさまざまな医療従事者と家族との信頼関係があればその中でできるだけ過ごしたいと思うのは患者さん、家族の自然な思いだろう。

在宅のケースでも全く同じことが言えると思う。

大事なのはそうした「安心のいつメン」みたいな人たちの中で患者さんなりその家族なりが相談したり、時間を過ごせること。

もう少し総合的に患者さんを包んでいける仕組みを作れないものかなと考え続けている。