【MSW】約3ヶ月目でやっていること
ケース数
所属している病院の規模や病態期によっても違いはあるだろうが、私のいる回復期病棟では、だいたいベテランの人で40ケースほど。私は3ヶ月で15ケース前後を受け持つことになった。
以前、MSWの集まりに行った際に他の人が何ケースくらい持っているのか聞いてみたら、入職1ヶ月で、しかも前職でMSW経験もない人でもすでに5ケースを持っていると聞いて大いに驚いた。
入職1ヶ月の頃の自分といえば、入院相談を受けること、電話の取り次ぎをすることくらいしかやらせてもらえなかった。トライアル&エラーなんて許されないし、少しでも電話でまごついてたら「すぐ変わって!」と主任が血相を変えていたものだ。以来、“よくわからない”電話があったらすぐに主任に変わるようにしている。
さて、話がそれたが入社3ヶ月ともなるとじんわりと病院の中が見えてくるし、じんわりと慣れてくる。人にも業務にも。
入院から退院まで
MSWのやることとしては、入院から退院までの一貫した支援である。入院生活もさることながら大きく比重をかけているのは退院の支援。入院したら、退院をみすえていく。
これが今の日本の、医療界に求められていること。
この価値観に立って支援をしていく。
回復期リハ病棟は病気によって入院期限が異なるが、その期限を1日も伸ばすことはできないし、いつまでも「患者さん」でいるのではなく、「◯さん」という一市民としてのその人の生活を「取り戻す」ことがMSWのお仕事でもある。
初期に受け持ったWさんは3週間ほどで自宅に帰っていったし、間もなく退院する人も40日ほどのリハビリで帰っていく。
退院について考えること
入院してきて早々に退院の話をすることは、人によっては良いことだが人によってはキャパオーバーな話題でもある。
これまた初期に受け持ったMさんは脳梗塞後のリハ目的で入ってきたが、とにかく元気だったのに突然の発症。気持ちが追いつかなくてリハビリをして元気になるようなイメージも持てないでいた。幸い、家族が非常に協力的だったがそれでも家族にとっても本人にとっても人生を揺るがす大きな出来事であり、こういう場合には画一的なケアもコミュニケーションも取るべきではないだろうと思う。
思うのだが、ステレオタイプなことしかできないひよっこSWなので、なんとももどかしい。
でも、私が新人かベテランか、なんて家族にも本人にも関係ない。私が担当していることで「貧乏くじ引いた」なんてことがないようにしないといけない、と思う。
入院というのはある程度、条件が揃ってやってくる。
CRPが安定しているとか、既往症でリハを妨げるほどの心配がない、とか、本人がリハに積極的であるとか。
でも、退院時はみんな違う。退院したいと思うあまりリハの入らない患者さんも珍しくない。
一人ひとりの違いや思いを汲み取ってSWするということは、できる限り患者さん、家族の思いを実現させることだと思うし医療者とはまた違う言葉をもって関われることがこの仕事の良さでもあるのだろう。
言葉の重み、話し合いの重要性
かける言葉一つで信頼関係が揺らいでしまうし、入院中にナーバスなのは患者さんも家族も同じ。支えきれないもの、抱えきれない思いを持って日々過ごしている患者さんや家族の思いをただ想像すればよいのではなく、お互いに言葉にして話して、話したことをほかのチームメンバー(看護師やリハビリスタッフなど)に伝えて気持ちの方向について共通認識をもつことが大事。
大事なのだけど、それをするために日頃から他職種の人たちと良い関係を築いている必要があるし、なるべく苦手意識を持たないようにしなくては、と思う。
さしづめ、医師が一番その信頼関係を築くのが難しい人種。
普通なら素直に(?)どうも、と言われるようなことでも「あなたには関係ないでしょ!怒」みたいなこともある。
で、逆に気を使わないとそれはそれで怒るし。
そんな面倒臭さはきっとどの病院に行ってもあるのだろう。
まあ、どの業界にも変わった人はいるし変わった人と仕事をしていくのは社会人の宿命。誰かにとって、少なくとも医師にとって私もまた変わった人なのかもしれないし。
そんな摩擦も感じながらの3ヶ月。
15ケースが多いか少ないかはわからないけど、15人いたら15人の「帰り方」がある。それだけは心しておきたい。