MSWのこぼれ話

不定期に更新します

生活保護を受けること

MSWの仕事をしていて、幾度となく生活保護受給のお手伝いをしたり、生活保護受給者の対応をしてきている。 Twitterで時々、心無い言葉を見かけることもあるけど、そんなの全部無視。受給している人たちがどんな経緯で受給したかなんて知りもしないくせに、無…

「クライエントは誰か」

MSWになって2年目。 この年は私の人生を大きく変える目眩(めくるめ)く出会いがあった。まず、この道40年弱の大ベテランMSWとの出会い。 今も真剣に、勝手に恩師と仰いでいる。 私はその頃、まだよくわかってないことの中で必死に仕事をしていた。なんとか…

根拠のある情報提供を。

先日、職場の大先輩、と言っても他職種(リハビリ)の方を交えて患者さんの支援プランを一緒に考える機会があった。 患者さんの担当は私を含めて経験年数の浅め(と言っても5年以上くらい)の何名か。 なんだかずっとフワッとしていて、「かもしれない」とい…

人生の最後に残るもの

かつて勤務していた病院の看護師さんは、その昔姉と同じ大学病院で勤務していたという。 その後、子どもの出産、子育ての中クリニック勤務をしたり、病院の外来勤務をしたり。そして今の仕事に落ち着いたという。 「退院支援看護師」という肩書きだったけど…

退院支援とは。

すごく久しぶりの記事になる。 今日は非常に義憤に駆られたことがあり、記録にも記憶にも留めておきたい。 ことの発端は、病棟からの一本の電話だった。 「この人、転帰先がいまいちわからなくて。ワーカー介入してもらえますか?」と言う電話だった。そう言…

家族からの相談

私のいる病院はソーシャルワーカーが連携部門も兼ねている。 だから、転院相談も承る。 最近は、家族からの相談も多い。「もうすぐ退院て言われてるんですけど、リハビリさせたくて」など。 今、どんな病気で入院しているのか、本人と会っているか(最近はコ…

「回収ボックス」

今、うちの病院に来ている(仕事で)若手医師とはとことん、相性が悪い。 波風はあまり立てたくないし、比較的穏便に事を進めたく、小言は言わないようにきをつけているけど、きっと言葉にせずに顔中で「それ違うから!!!」と突っ込んでいるだろう私がいる…

MSWの仕事を在宅ワークで考える

もうかれこれ1年4ヶ月、日本国内ではだらだらと新型コロナが蔓延し続けている。諸外国も同じかもしれないけど、「だらだら」という言葉がぴったり。 なにかあると「お願い」から始まり、「強い要請」「協力要請」とか新しい日本語を駆使して「とにかく控えよ…

MSWは人気がないらしい。

全然知らなかった話だけど、MSW(医療ソーシャルワーカー)は今人気がないらしい。社会福祉士の資格をとった後、本当は児童相談所や児童養護施設で働きたいと思っていたけど、児相は年増の未経験なんて絶対採用しないし、仮に働けても非常勤。子ども二人を養…

経管栄養で退院した人の、その後。

今年度は経管栄養で自宅退院をした人が4人いる。そのうちの一人は諸事情によりやむなく一時退院して、今は入院していただいている(元気そうですごくホッとした)。 残り3人は、かなり重い嚥下障害があって、お一人は仮性球麻痺だった。そう多くない症例らし…

あの患者さんのその後。

前回書いた記事。 social-work-tokyo.hatenablog.com この続きで、実は患者さんがかなりシャキッとしてきていろいろと思いを伝えてくれるようになっている。 耳が遠かったり、ADLはやっぱりそこまで上がってはいないけど、リスク管理はできるようになってい…

それは先生が決めないでくれ。

とある医師のICに同席。 なんか、珍しく違うスイッチが入っているなぁと思って聞いていた。普段なら患者さんのカットイン(話の割り込み)にも落ち着いて、優しく対応してくれる。なのになんとなく、イラッとした感じというか、少し呆れているような雰囲気を…

生活保護手帳2020

ずっと頭を悩ませている生活保護制度。私には何度読んでも難しい。法律の言葉ってどうしてこんなに難しいのでしょう。 官僚言葉が理解できなくて要はどういうこと??と思う。何度もぶつかる言葉の壁。 最近調べているのが世帯分離のことなのだけど、世帯の…

MSWになって4年目

すごく昔のことのようだ。MSWになって3ヶ月の頃のことを書いた日が。 あれから3年がまるっとすぎて、4年目を過ごしている。 赤恥だらけの日々だ。 3ヶ月でかく赤恥と、4年目でかく赤恥には大きな溝があって、今は毎日、穴があったらすぐに入りたい。 そう思…

もしもの世界

いつの間にか、経験年数的に回復期の専従加算が取れるようになっていた。MSW3ヶ月目とか言ってた時期が懐かしく、戻らなくていい過去でもある。 でも思い返せば、あの頃いた唯一の良心である脳外科医に(私が勝手に)助けられ、知識をなんとかかんとか習得す…

怒りに震える

先日、ICがあった。 以前、当院に入院していた方が別の病気で急性期に転院して、その治療後に再入院してきたというケースだ。 ICの途中、ご家族が肩を震わせ、泣き始めた。割と感情の起伏がある方なので私も医師も看護師もその状況を受け止めつつ、落ち着く…

本業とあまり関係ないICの話。

医師が患者さんと家族に向けて病状を説明するIC(インフォームド・コンセント)に同席することが多い。多くのMSWがその経験をしていると思う。 そして私はこの時間がすごく好き。 ICのとき、ワーカーは気配を消して息を潜めて(いるような気持ち)で同席して…

他職種からの刺激と学び

先日、急性期で外来担当しているベテランの作業療法士から電話がかかってきた。 以下がその時の話。 「そちらに入院してるMさんなんだけど、Sさん(リハビリスタッフでMさんの担当者)から相談があって少し関わることになりました。 Sさんも多分全容把握でき…

自己覚知を何度でも。

相談者が来た。 介護保険の申請をいつしたら良いか。 親を家に連れて帰れるのか。 経済的にかなり厳しい状況。 などなど、相談は多岐にわたる。 つい、病棟看護師やコメディカル、医師と多くのコミュニケーションをとっていると、「早く介護保険を申請して」…

障害と代償手段とanother life

先日、ばったりBさんの家族とすれ違った。 初冬に退院したばかりの方で、自宅に帰ることができず、他の病院へと転院した方だった。 まだ若くてギリギリ介護保険を取得できたが、お子さんも小さく妻の介護を受けて生活するという選択は取りづらく、ゆくゆくは…

怒りの感情は支援の阻害要因。

まもなく退院するAさんの話。 とにかくわがまま放題で身体機能うんぬんよりも本人の「気持ちの問題」でリハビリが進んでないというのが急性期からの前評判だった。 ご家族も結構なキャラクターで入院初日から「いちいち病院から呼ばれても困るんで。私も仕事…

人を支援するとはなんだろう。

あけましておめでとうございます。 もう昨年になってしまうけど、忘れられない患者さん(Aさん)がいる。 つい最近あった出来事で今も終結していない話なのだけど。 Aさんはある事業を長年しているビジネスマンで、入院当初は経営者然としていて「個室に入れ…

鈍感と敏感の混在

先日、先輩と患者分担について話していた。 今の担当患者を見ていると 帰りそうな人、帰る予定のある人 3割 もう少し時間がかかるけど方向の決まってる人 6割 まだどうなるかわからない人 1割 という割合(すごくアバウト)で困難だったりやりにくいと感じる…

ソーシャルワーカーでよかったこと。

ソーシャルワーカーという仕事にもっと早く出会っていたかったなと思うことがよくある。 物理的に経験が積めない(あと10年若い子にはもうどう頑張っても経験値として50歳になった時に開きが出るし)、やりたいことがたくさんありすぎで学びきれないと思った…

【自主学習】「女性・子どもと暴力」の講演を聴く。

港区男女平等参画センターが主催するフェスタに森田ゆりさんの講演があり、聞きに行った。 森田ゆりさんといえば、日本にCAP(Child Assault Prevention)を紹介したことでも有名で、CAPのワークショップや研修は、ソーシャルワーカーでも受けて当たり前、く…

福祉について考える①

今、未就学児が2人いる我が家は、2人ともゼロ歳児の時から保育園のお世話になっている。 上の子が今年最終学年なので、利用6年目となる。 上の子は8ヶ月、下の子は5か月からお世話になっているので離乳食も午睡の習慣も立った歩いたも、「自分で」(という…

【時事】川崎殺傷事件が投げかけたもの

川崎の殺傷事件から約1週間。 速報では誰が犯人変わらなかったが、そのうち、犯人が自ら命を絶ったこと、50代であったこと、長い間、自宅に引きこもっていたこと、おじ・おばに育てられた境遇であったことが報道からわかった。 そしてこの事件以降、引きこも…

【雑記】「病院の質」ってなんだろう〜クレーム対応から考える〜

新しい病院で働き始めて2ヶ月がたった。まだ2ヶ月、もう2ヶ月...。 働き始めてまだ時間が浅くて全容を語れるわけではないものの、肌で感じたことを少し。 医師の責任の範囲は? ここにきて改めて驚いたこと・感謝したことに医師の明確な役割分担、責任がある…

【雑記】障害福祉がいまだに難しい

あっという間にソーシャルーワーカーになって2年が過ぎようとしている。早い早い。 仕事をしていて出会う福祉ジャンルは、 高齢福祉 生活保護 障害福祉 といったところで、病棟の機能がら児童は出会えず。 高齢福祉は「だいたい」はわかるようになってきたけ…

【雑記】児童虐待事件が起きるたびに思うこと

昨年の3月、目黒区で女児が親に殺された事件があり、児童虐待の悲惨な事件として報道されていた。事件の後に世論も随分と活発になって各自治体で取り組みなども公表されたと記憶している。 それから1年。この冬も野田市の女児が両親に虐待されて殺されてしま…