MSWのこぼれ話

不定期に更新します

【雑記】「病院の質」ってなんだろう〜クレーム対応から考える〜

新しい病院で働き始めて2ヶ月がたった。まだ2ヶ月、もう2ヶ月...。

働き始めてまだ時間が浅くて全容を語れるわけではないものの、肌で感じたことを少し。

 

医師の責任の範囲は?

ここにきて改めて驚いたこと・感謝したことに医師の明確な役割分担、責任があること。

患者さんの状態把握、診察、病状説明、他科コンサル、診療情報提供書の執筆は全部当院では医師が行う。

下血していたら採血→結果から他科相談→診断もしくはいくつかの疑いを出して、家族に一報。

ここまで誰に頼まれなくても自動的に医師が動いて行っている。

看護師の配置

看護師は他の病院と変わらずに日々の患者さんの状態把握や身体看護。身辺の看護的ケア。

一番の違いは人数の配置。60人ほどの病棟に看護師が日中は10人以上常時いるので入浴係、部屋持ちがいて管理者はその中に含まれていない。

前の病院の看護師がどうのこうのとは全く思わないのだけど、人数が全然違うのは非常に驚きだった。

単純に人数が常に足りないからステーションがもぬけの殻、そこに患者さん2名(ステーションで見守り対応の人)がいることはざらだった。ドッキリしてMSWだけど見守るよ!ってことは日常茶飯事。トイレ連れて行ってあげられないけどね...。

 

食事時間の配膳も介助もとにかく人がいなくて「できることなら手伝うよ」と思ったことは数知れず。

 

今の病院は患者さんの座る位置に合わせてカウンターにダーっと先ずはお盆を並べる人→カウンターの配膳盆を並べるスタッフと手分けしてスピーディに配っている。人数も確保されているしシステムも整っていた。

看護師の態度・役割

看護師の態度でまた驚いたのは「患者さんの悪口はステーションで絶対に言わない」ということ。

人間だから絶対に思うことあるって人はいると思うし人によって怒りのポイントは違うからバックヤードでは悪く言ってるのかも知れない。そこは聞こえないからわからない。

けど、以前の病院では日常的に「あの人こんなこと言ってどうの、こうの」と驚くほどみんな(師長の果てまで)悪口を言っていた。

高次脳機能障害で気が短い人、感情不安定な人、家族が複雑な人...

いる人たちは大きな違いがない。

だけども看護師さんたちのその人たちへのまなざしが大きく違うのは、効率的なシステムや指導体制の違いがあるのかなと思う。

病棟師長が研修を受けずに師長になっているのと、日々勉強して研修受けているのとの違いか、それ以外にも色々ありそうだけども。

でも、患者さんの悪口を言わないという当たり前のことが守られている職場で求められているプロフェッショナルは心が凛とする。

クレームに対しては

前病院では、鬱の強まった患者さんの強制退院、看護師と昔々恋仲だったことを理由になぜか患者さんが病棟を移動。

のち、強制退院。

そのほかにもたくさんたくさんクレームがあった。

 

インフル時期の面会制限へのクレーム、差額ベッド代へのクレーム、ホスピタリティ、看護へのクレーム...。で、看護師対応不能となると、MSWが駆り出され、医師はひたすら逃げ口上。最初から医師が盾になるとは思わないので、MSWが波を沈めるしかないけど、そもそもだな、そもそも看護師さんなりその時に最初にクレームのきっかけとなった人の対応がどうだったか?でだいぶその後の波の大きさも変わる。

 

大波になってからMSWのところにトラブルシュートしろと来るので、本当に骨折りだった。

 

ところが変われば...。今の病院では全くそうしたトラブルがない。

高次脳からくる不穏や苦情はもちろんあるけど、MSWが解決しろというよりも、まずはチームで方針を決めて医師が家族にICをしてコトが解決していく。

患者さんの苦情は治らないけど、それはチームで共有してこういう精神状態だとこういう反応をしてしまうよね、とあくまでもスペシャリストとして関わる。だから伝達ミスなど初歩的なミスで患者さんを不安にさせることも減らしていく努力をしているし、常に目の前と向き合いつつ前を向いているなぁと思う。

まとめ

余裕を持って支援をするために必要なのは、スキルと勤務のゆとりだと思う。

患者さんが思いの丈を話したい時に聴く時間、聞いた話を解決に導いていける提案、やるべきことを洗い出せるスキル、協力・責任体制を取れるチームワーク、病院であれば医師が矢面に立てるか。

それに尽きるんだと思った。

医師が矢面に立てば他職種は完治しないわけではなくて、病気が絡むこと、病棟管理・責任が絡むことだから医師、師長といった責任者が誰であるかが大事になる。その上で、他職種もそれぞれの場面で責任を担っているけども。

 

病院によってこんなにも違うことに驚いた次第。