MSWのこぼれ話

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人生の最後に残るもの

かつて勤務していた病院の看護師さんは、その昔姉と同じ大学病院で勤務していたという。

その後、子どもの出産、子育ての中クリニック勤務をしたり、病院の外来勤務をしたり。そして今の仕事に落ち着いたという。

「退院支援看護師」という肩書きだったけど、実際は連携室の入院相談業務でまだ病院のことをよくわかってない私は、彼女の持つ技術と与えられた役割のミスマッチがいまいち理解できなかった。

 

今も、「入院相談を看護師が受ける意味はわかるけど、退院支援看護師なのか?うちの病院とは全然違うよなぁやっぱり」なんて思う。

その看護師さんと帰りが一緒になった時のある日。

まだ仕事を始めて2ヶ月目とかそれくらいの頃だったと思う。

看護師さんが「亡くなるその時まで残るのは介護と看護なのよ」とおっしゃっていた。

なんて大事な仕事なんだろう。

病院で働き始めたばかりで漠然と「医師が最高権力者」と思っていたし「最後まで医師が患者さんの人生を左右する」くらいにまで思っていた。

だけど、残された時間をどう過ごすかというものを支えるのは実は医師ではなくて看護師さんだったり介護士さんだったりする。そういうことなんだと理解できた。

もちろん、医師は処方もするし診断もする。だけど、その処方と診断を経て手を動かし汗を流してケアにあたるのは看護師さんや介護士さん。

そして家族。

 

急性期の病院で働いていると劇的に良くなって帰る人もいれば劇的に悪くなって療養病院を選択せざるを得ない人がいる。

どんな場所でどんなケアを受けて最後の時間を過ごしたいか。

とても難しいけど大事な問いだなと思う。きっと、若いとか年老いているとか関係なく考えなくちゃいけないこと。

 

ベテランの看護師さんから聞いたその話はもう何年も前の話だけど、今もずっと心に残っているし、それを聞いて以来看護師さんの役割とか仕事とは?ということに考えが至るようになった。

仲良しの看護師さんがまさにそんな視点で看護をしていてとても尊敬する。

姉もきっと、心の中にはそういうプロ根性を育てているのだろうな。